お電話番号: 213-621-3000
米国時間午後5時30分以降: 818-755-4276 内線: 456    

週7日/24時間、日本語でお気軽にご相談ください。

通常業務時間
月 - 金: 9:00 a.m. - 5:30 p.m. 

Blog Index
The journal that this archive was targeting has been deleted. Please update your configuration.
Navigation
Monday
Aug062012

日本の常識&アメリカの非常識:履歴書について

今回は履歴書(レジュメ)に関する日米の違いを具体的な例を用いて説明したいと思います。アメリカでは日本と違い、履歴書に関する厳しい規制があります。日本の一般的な履歴書をアメリカ国内で要求すると、訴訟リスクを背負う可能性が大きく高まります。では一体、日本で要求されている履歴書のなにが問題なのかを見ていきたいと思います。 

1 顔写真: 顔写真を要求することはDFEH(雇用機会均等及び住居部)が定める、人種、性別に基づく差別の疑いを持たれる可能性があります。理由は顔写真によって作為的に人種や性別を選べるからです。 

2 生年月日: 年齢差別に該当します。 

3 家系情報など: 直系の家族などの情報を要求することも差別に該当します。例えば、就職希望者のお父さんの職歴・学歴等を聞く事は出来ません。

ただし、これらの項目は雇用主が要求した場合であって、もし就職希望者が自発的に送ってきた場合は問題ありません。

それではアメリカではどのような履歴書が使用されているのでしょうか。

以下は一般的な履歴書の一例です。

1 連絡先 (名前 電話番号 メールアドレス等)

2 プロフィール (略歴で、どのような経験があるのかを書いてあります。)

3 学歴 (学位を取得していない専門学校などの経歴を含める場合もあります。)

4 職務経歴 (アメリカの場合、なにをやっていたかを箇条書きで書く場合もあります。)

5 賞罰 (過去の職歴で得た賞、もしくはそれ以外の活動で得た賞などを書き込みます。)

6 その他の活動 (所属ゼミや個人的に所属している部署などを書きます。)

7 免許・所得資格(民間、公共機関より取得した免許・資格等。)

8 就労ビザの有無 (ビザを持っている人の場合、ここに書く場合があります。)

 文責 William D Johnson

執筆 Susan White and Masato Suzuki

Monday
Jul232012

就業時の差別・セクハラ

 今回のテーマは就業時の差別、セクハラです。

さりげない一言でアメリカでは訴訟リスクや賠償リスクを抱えてしまうケースが存在します。 

特に目立つのが、女性らしさや男性らしさを強調した発言や、お茶くみを女性社員に強要する、あるいは、男性、女性に対して差別的発言をする点です。こういった発言は、たとえ相手を褒め称える発言であったとしても、セクハラに該当するおそれがあるので、細心の注意を払わないといけません。以下はセクハラや差別に該当する恐れがある言動の例です:

  • 『佐藤さんは非常に男らしい。』

  • 『スミスさんは日本人みたいだ。』

  • 『32歳ならそろそろ結婚したほうがいいのでは?』

  • 『男性は力仕事、女性は事務仕事。』

  • 相手の宗教や慣習を否定する。

  • 職権を利用して課業外の活動参加を強要する。

  • 身体に触れる。

  • 大声で叱責する。

では、職場内でどのようにすれば良いのでしょうか?一つはプライベートと就業時間の区別をしっかりとつけることです。職場内では従業員に対しては、業務命令と業務に関わることを中心に話すようにしましょう。もしプライベートの話になるのであるならば、年齢、性別、宗教、国籍などの話題の際は細心の注意をはらうことが大切です。 

一見これらを注意することは難しいように思えますが、ただ少し言い方を変えるだけで、適切で、差別に該当しない指示をする事が出来ます。例えば、『男性は力作業をしてください。』という指示を『力がある人は力作業をお願いします。』と変えるだけで、訴訟リスクや賠償リスクを解消することができます。

文責 William D Johnson

執筆 Susan White and Masato Suzuki

Tuesday
Jul172012

アメリカでのセクハラ訴訟

 今回のテーマは、セクハラに関する案件です。

日本でも一般的になったセクハラ対策ですが、アメリカは日本と比較してはるかに厳しいセクハラに対する規制があります。2006年に発生した北米トヨタセクハラ訴訟では、原告の女性が懲罰的制裁金を含めて1億9000万ドルを請求し、1996年の三菱セクハラ訴訟では300人の原告に変わって、EEOC(米国雇用機会均等委員会)が三菱自動車を告訴し、原告らに3400億ドルの賠償金を課した事例があります。

セクハラ問題に関して、合衆国及びカリフォルニア州は、大企業だけではなくすべての企業、もしくはスモールビジネスに対して義務や責任を明確に記述しており、もしそれらに対して違反をした場合、前述した厳しい制裁、そうでなかったとしても、長い期間の係争に巻き込まれる恐れがあります。 

今回はカリフォルニア政府DFEH(雇用機会均等及び住居部)のパンフレットより、雇用主が順守しなければならない点を抜粋して説明いたします。

State of California Department of Fair Employment & Housing より

「合理的な方法で、セクハラや差別を防止しなければならない。もしハラスメントが発生した場合、当該ハラスメントをなくすための効果的な方法を取り、かつそれがハラスメントに対して正しくなければならない。」 

この項目に違反した場合、雇用主は従業員が被った損害に対して、賠償責任をすべて負うことになります。具体的には、そのハラスメントによっての身体的、精神的損害、もしハラスメントが原因で被害者が退職した場合、就業が継続できたであろう逸失利益も対象となり、悪質と裁判所が認定した場合、懲罰的損害賠償の対象になります。具体的には、ハラスメントを防ぐための社内環境や、ハラスメントに対する苦情に対して、適切な処理を実施すること、苦情を出した従業員(男女問わず)に対して不利益な扱いをしないことと、苦情を出した従業員与えられる権利に関して説明をすること。50人以上の従業員(パート・フルタイム)を抱える場合、2年に1度ハラスメントに関する教育を実施すること、そしてスーパーバイザークラス(上司・管理職)の従業員に関して、入社半年以内に教育を施すことなどがあります。

雇用主がセクハラ責任回避の一定の指針として 

  • セクハラ加害者が責任ある立場にいないこと、マネージャーや代理人、スーパーバイザーなどの立場にない人 
  • しっかりとハラスメントを妨害するためのプログラムを実施していたこと。
  • 雇用主がハラスメントが発生した事に関する知識がまったくなかった場合。
  • 雇用主がセクハラに対して迅速に、かつ適切にハラスメントを止めようとした場合。 

これらを満たした場合、雇用主はセクハラの責任を回避できるかもしれません。ただし、これらの事例は実際の判例法に準拠します。また、セクハラや差別に対して雇用主が適切に対処しなかった場合、労働者はDFEHに対して問題解決のための苦情を申請する権利があります。

DFEHの介入

DFEHは、従業員がセクハラや差別だと確信した訴えに関して1年以内のケースの場合、DFEHは苦情を受任するかもしれません。もし苦情を受任した場合、DFEHは第三者として事実確認を実施し、そして加害者、被害者共に解決ができる手助けをします。もしDFEHがセクハラの事実を確認し、かつ解決ができなかった場合、DFEHは正式な調査を実施します。それはFEHCの公聴会やDFEHによる訴訟であります。そしてそれらが差別やセクハラと認定された場合、下記の賠償を命ずる場合があります。

  • 雇用主や法的責任がある個人に対する、賠償命令や罰金 
  • 被害者の雇用、もしくは復職 
  • 遡及的給与や昇進 
  • 就業規約の改変 (注:被害者はDFEGが受任している最中でも、民事訴訟を起こす権利があります。) 

三菱自動車のケースはDFEHではなく、連邦のEEOC(雇用機会均等局)が被害者に代わって告訴したケースでありますが、カリフォルニア州の政府機関であるDFEHも連邦機関のEEOCと同様に強い権限を持っています。

次回は実際のケースを見て、差別、セクハラに対して理解を深めていきたいと思います。

文責 William D Johnson

執筆 Susan White and Masato Suzuki